モノづくりの屋台骨。
フィールドは、
世界のすべて。

2008年入社
米澤 美穂/MIHO YONEZAWA

購買

本田技研工業(株) 購買本部 購買一部 シャーシ課 チーフ
外国語学部 英米語学科 卒業

調達先は、
全世界。

幼い頃、6年間ヨーロッパで暮らした。母はなんでも自分でつくってしまう人だった。当時現地ではなかなか手に入らなかった豆腐や和菓子を、材料を集めて一からこしらえてくれる。服だって私たち姉妹の体にぴったり合ったものを縫い上げてしまう。何もないところから形にすることの面白さを、私は母の姿から教わった。モノづくりの会社を志したのも、この体験があったから。そして、数あるメーカーの中でもHondaに惹かれた大きな理由は「差ではなく違いを活かせ」という言葉。それぞれの個性を認め合い、持ち味を発揮することで組織は最大限の力を生み出せる。個性を尊重する海外文化になじんでいた私にとって、ノートに書き写してしまうくらい響いた言葉だった。

クルマは約2〜3万点の部品からできている。その8割あまりを世界中のお取引先から調達するのが、私が配属された購買部門だ。たった1本のネジが足りなくても、お客様にお届けできるクルマにはならない。グローバルなサプライチェーンを駆使し、部品の安定供給を支えることは絶対のミッション。さらに購買には「Hondaの利益代表」という別名がある。品質のよい部品を低コストで調達できれば、お客様に受け入れられやすい価格のクルマづくりが可能になり、それが結果としてHondaの喜びに繋がる。その実現のために、文系出身の私が設計図を手に開発部門と議論する。お取引先とは先方の事業戦略にまで踏み込んで、お互いの事業が成長するための交渉を重ねる。文理の垣根も国境も問わない、スケール感たっぷりの仕事なのだ。

止まらないラインを
実現するため、
アラバマへ。

天災は、安定供給の最大の敵だ。お取引先の工場が被災すれば、部品が届かずに生産ラインは止まる。お客様にとってもHondaにとっても大きな損失をもたらしてしまう。この損失を最小限にするカギは、災害発生直後にある。被災エリアのお取引先にすばやく連絡を取り、状況を確認し、対応策を決めるのだ。スピード感こそが命。ところがお取引先は日本だけでも約400社あり、さらに各地の拠点へと枝分かれしている。そのすべてを把握することは難しく、過去の震災ではリカバリーに遅れが出ることもあった。当時の教訓をもとに、国内ではお取引先の拠点の把握が大きく前進した。次は海外だ。

2015年の秋、私はアラバマ工場にいた。人件費などのメリットから、現地のお取引先の多くがメキシコに工場を持ち、そこで部品を生産し、Hondaに納めて下さっている。Hondaとしてもメキシコから部品調達することを戦略のひとつとしていた。ところが日々の調達の現場ではお取引先の拠点の詳細を掴むことができていなかった。この状況を改善しなければならない。メキシコもまた、被災可能性が高いとされる国のひとつである。けれど「どうしてそこまで必要なんだ?」と現地購買部門と折り合いがつかず。「だって、やらないとお客様に迷惑が掛かるでしょう」。そんなフワッとした言い分では理由と認めてもらえない。日本とアメリカ。仕事に対する進め方の違いが明確になった出来事だった。

いくつもの価値観、
ひとつの目標。

私は取り組みの必要性をロジック化した。現状の何が悪いのか。どれほど大きな問題なのか。このままだと何が起こるのか。どのように変えるべきなのか。日本だったら考えられないほど緻密に。そこまで整理しても、話す相手を間違えると耳を貸してくれない。アメリカでは「誰がどの仕事を担当するか」の線引きがシビアだ。ちょっとでもはみ出すと「それは僕には関係ない」と突き返されてしまう。けれど不思議なもので、こうしたポイントをきちんと押さえるように意識してからは話がすいすい進み始めた。現地のメンバーはもちろん、お取引先とも協力しあって、当初の狙いをほぼ形にできたのだ。

アラバマでの半年間が教えてくれたのは「バックグラウンドを理解する大切さ」だ。海外で育った経験から、多様性を尊重する姿勢は自然と身についていた。「私は私」で「あなたはあなた」。だから、ぶつかっても無理には説得しないというスタンス。けれど、仕事となるとそればかりではダメなのだ。価値観の違う者同士が、力を合わせてひとつの目的を達成しなければならない。意見や姿勢がぶつかった時、食い違った理由を文化や環境にまでさかのぼって理解する。そうして初めて、お互いの良さを引き出すことができる。「差ではなく違いを活かせ」。あんなに心動かされた言葉の本質を、私は入社して初めてアラバマで実感したのかもしれない。

「自分のため」こそ、
「Hondaのため」。

私は今、新たなプロジェクトと対峙している。お取引先と共創でHonda製品の魅力を更に向上させ、お客様の喜びにつなげる。うまくいけば圧倒的な競争力強化につながるプロジェクト。だが、発売時期の違う車種のデザインや機能をどうやって先読みするかなど、まだまだ課題は山積み。走り出したばかりで結果は誰にも読めないし、成功の確証もない。そんなプロジェクトでも、やる価値があると思えば挑戦してしまうところが、いかにもHondaらしい。

Hondaが企業としてチャレンジを続ける一方で、私もまた、とあるチャレンジを心に描いている。海外駐在員になり、自分の強みを活かして現地の方々に価値を提供できる仕事をすること。それも、できることならわが子を連れて。私がヨーロッパで育ったように、子どもにも早いうちから海外での経験を積ませてあげたい。ちょっと個人的すぎる願いも含まれているかもしれない。けれど従業員一人ひとりが自分の強みを活かして一生懸命働き、その結果としてお客様や共に働く仲間に認められる。そして、生活の中でも自分の願いを叶え、充実感の中で仕事をする。一人ひとりの、このポジティブなサイクルこそ、Hondaという企業を発展させる力だと思うのだ。そう、Hondaにはこんな素敵な言葉もある。「自分の為に働け」。その言葉の意味するところを、私は自分自身の行動を通じて次の世代に示していきたいと思う。

CAREER PASS

START
埼玉製作所にて工場研修。
Honda Carsにて販売店研修。

  • STEP.01

    2008/10~2015/9

    購買に配属され、安定立ち上げに向けた新機種イベントへの部品の納入管理を行う。その後、お取引先選定からコスト決裁まで幅広く担当。また、部品の調達戦略の構築や提案も経験し、Hondaの購買の醍醐味を学ぶ。

  • STEP.02

    2015/10~2016/3

    海外トレーニー制度でアメリカ・アラバマ工場へ。現地お取引先や購買メンバーを巻き込んで、サプライヤーチェーン強化に取り組む。戦略は現場レベルで実行されてこそ意味があると痛感した。

  • STEP.03

    2016/4~

    アメリカから帰国し、これまでになかった新しい取り組みに挑戦する日々。手探りでゼロから道を切り開いていくのは苦労も絶えないが、購買に革命を起こすべく奮闘している。

STAFF