私の技術は、
世界中のお客様と
現場のために。

2010年入社
宇多 由美/YUMI UDA

生産技術

ホンダエンジニアリング(株) 研究開発部 専任技員
理工学研究科 情報理工学 修了

心が目覚めた、
生産技術との
出会い。

「ロボットをつくりたい」。小学校の卒業文集に、私はすでにそう書いていた。大学でも大学院でもヒューマノイドロボットを研究。ASIMOに胸をときめかせながら、Hondaの説明会へ出かけて行った。新しい気付きがあったのは、その時だ。「ロボティクスの基礎研究領域だけでなく、四輪・二輪・パワープロダクツ等の生産技術領域でもロボット技術を生かせますよ」。担当者のそんな説明がきっかけだった。モノ自体ではなく、モノをつくるプロセスをつくる、生産技術。Hondaでその領域を担うホンダエンジニアリングには、広い活躍フィールドがあるのだと知った。次世代技術の研究開発部もあれば、生産ラインの企画や、量産化技術を確立する生産技術部、各工程の設備や装置を設計・製造する設備生産部もある。その中で産業用ロボットなどの開発に携わることも可能だった。

「自分の知見を広げてみようかな」。正直、当初はコミュニケーションロボットの研究に携わる前の“仮の住み家”のようなつもりだった。しかし四輪車工場での研修時、“終の住み家”にしたいと一変する。「生産技術って、すごくたくさんの人が待っている技術なんだ」と開眼したからだ。ラインで次々と運ばれてくるクルマ。その1台1台を待っているお客様がいる。優れたラインの導入を、首を長くして待ち望む生産現場の人たちもいる。これこそ世の中の役に立っている仕事だと感じた。「技術で社会に貢献したい」という以前からの想いが、漠然としたイメージからリアルなイメージへと一気に変わった。

困難は
絶好の
飛躍のチャンス。

私が生産技術者として磨かれたのは、入社4〜5年目に2年がかりで携わったビッグプロジェクトだ。2016年モデルのODYSSEYに搭載された、2モータ式ハイブリッドシステム“i-MMD”用モータの量産化計画プロジェクトだった。そのモータはHonda渾身の独創的モータである。生産技術部に在籍していた私は、モータの生産ライン全体の企画から参画。急速加熱という工程の主担当も務めながら、ライン全体を初めて一斉に動かすための旗振り役も任された。一言でモータの生産ラインといっても、数多くの工程で成り立っているのである。

独創的な仕様のモータには独創的な量産化技術で応える必要があった。様々な困難が立ちはだかった。私に与えられた難題は、従来は数十分かかっていた絶縁塗装前の加熱を数十秒で実現することだ。次から次に課題が出てなかなか解が見出せず苦しかった。だけど絶対に退き下がらない。不退転の覚悟だった。自分の技術を待ってくれている人たちのことを想い浮かべ、困難は飛躍のチャンスなんだと自分に言い聞かせた。ひたすら実験と検証を繰り返した末、精度の最大化と所要時間の最小化を実現する技術を編み出した。次々と見舞われる想定外の事象に怯まずに、ボトルネックをひとつひとつ解消して、製品の具現化につなげられた経験が自信になっている。しかし私にとっての収穫はそれだけではなかった。

議論百出の
まとめ方。

i-MMD用モータの量産化計画は、非常に参画メンバーが多いプロジェクトだった。私たち生産技術陣営だけでも各工程の関係者が多い上、研究所の設計者や製作所の製造技術者もいる。様々な考えや想いが交錯するだけに、議論百出。意見の集約が難しかった。導入ラインで最初の一斉流動の旗振り役も任されていた私は、次のようにして解決を図った。まずは各オピニオンリーダーの話を聞いて回る→私からも提案や主張をして個別に同意を得る→その上で全体会議を開く→全員がいる前で、それぞれが同意していた範囲内で最終合意形成を図る。これが正しいやり方かどうかは、分からない。だけど「俺は聞いてないぞ」とか「自分は意見すら聞かれていない」ということがなくなり、計画が一気呵成に走り出した。「よし、この日程で腹を決めた」「決まったらあとはやるだけだな」「この課題は俺が何とかするから安心しろ」。いざ方向性が定まると、実に踏ん切りがよく、あっと驚く団結力を見せるのがHondaである。

ラインを初めて全体稼働させた時の感動は、今も鮮明に覚えている。各工程で紆余曲折と試行錯誤を重ねて造り上げた各設備。それらが元気よく一斉に動き始める。点と点が線になり、モータが運ばれてくる。深い達成感に包まれた。皆の苦労を知っているだけに、ひとしおだった。大勢で完成させたラインに命が灯る瞬間を、全員で喜び合えるのは生産技術者ならではのご褒美だ。

成長を遂げ、
再び
ロボットの世界へ。

私はその後、生産技術部から研究開発部へ異動。次世代に向けた生産技術の研究開発に励んでいる。PL(プロジェクト・リーダー)として挑み始めたテーマもある。四輪車生産ラインで多様な部品を掴んで配膳する、ロボットハンドの研究開発だ。私は再びロボットの世界へ戻ってきたのである。学生時代の自分よりもずっとずっと成長して。積み上げてきた経験の山の上に、私は立っている。思えば原点は入社後の工場研修だった。埼玉製作所や浜松のトランスミッション製造部で培ったパワートレインの加工・組立の知見、そしてそこで築いた現場の人たちとの人脈。その全てが、配属直後に携わったトランスミッション組立ラインの立ち上げプロジェクトでも、i-MMD用モータの量産化計画プロジェクトでも、やり遂げるための礎になった。

革新的な技術成果の量産ラインへの導入が、今の自分の目標だ。私が描いている世界観は、ヒトと機械が共存できる未来。ロボットには、決められた時間を守り切って仕事ができるという正確無比な能力がある。ヒトには、ある仕事を覚えたらどんどん習熟して、より高いレベルの仕事ができるという偉大な能力がある。その2つが最適なあり方で共存できる生産プロセスを実現したい。ロボット研究の世界を一度離れ、数え切れないくらいの現場の人たちと出会ってきたからこそ、「こういうのを待っていた!」と言われるロボットハンドを造れると思う。ひとりよがりでいくら高性能なものを造っても、現場の人が使いにくければ意味がない。Hondaの格言どおり「技術は人のために」なのだ。私の技術を待っている人たちが、各製作所にたくさんいる。Hondaのクルマが届くのを、待ち望むお客様が世界中にいる。そのことを思うたび、ふつふつと湧いてくる原動力。それが今も私を駆り立てる。

CAREER PASS

START
埼玉製作所、トランスミッション製造部にて工場研修。
Honda Carsにて販売店研修。

  • STEP.01

    2011/8~2013/3

    生産技術部にて、四輪車トランスミッションの組立工程における生産技術業務に従事。特に品質検査工程を担当。ハイブリッドシステム“IMA”で使われる、モータ量産化プロジェクトに参画。

  • STEP.02

    2013/4~2015/5

    i-MMD用モータの量産化計画プロジェクトに参画。モータ生産ラインの企画、急速加熱工程の主担当、ライン一斉流動の取りまとめを経験。急速加熱工程業務の中で発明した技術は、「ステータワーク加熱装置、ステータワーク加熱方法及びステータコイル製造方法」として特許登録されている。

  • STEP.03

    2015/6~

    研究開発部に異動。四輪車の多種多様な部品を掴んで配膳するロボットハンドの研究開発など、次世代に向けた新しい生産技術の先行研究開発を進めている。

STAFF