暮らしの中へ。
人のそばへ。
Hondaだから届く、
人工知能の夢がある。

2007年入社
吉野 弘規/HIROKI YOSHINO

知能化研究

(株)本田技術研究所 R&DセンターX 研究員
総合理工学研究科 知能システム科学 修了

ソフトウェアだけでは、
できないこと。

ドラえもんが大好きだった。ロボットなのに友だちとしてのび太くんを思いやり、夢のような道具で助けてくれる。こんな未来になったらいいのにと、子ども心に強く願ったりもした。大学で知能システム科学を専攻に選んだのは、きっとそんな原体験があったからだ。研究テーマは機械学習による顔認識や音声認識。ソフトウェアだけで完結する分野だ。当時「ハードウェアの時代は終わる」「これからはソフトウェアの花ざかりだ」と言われていた。まさにソフトウェアを学んでいた僕だけど、そんなふうには思ったことがない。人工の知能は、ソフトウェアのままでは人と触れ合えない。生活環境に入り込んで暮らしを豊かに変えていくには、ハードウェアの力が欠かせないはずだ。

そして僕はASIMOを知った。世界的な注目を集めるロボットが日本から生まれたことも嬉しかったが、惚れこんだ理由はそれだけじゃない。ASIMOには、人間とのインタラクションを深めていくための圧倒的なハードウェアの力を感じた。大学で身につけたソフトウェアの知識に加え、ハードウェアにも手を伸ばし、ほんとうに現実社会の役に立つものをつくりたい。そう願っていた僕にとって、ASIMOの生みの親であるHondaはこの上なく魅力的に映った。就活ではいくつか企業を回ったが、Hondaのハードウェアに勝る魅力は、ほかのどこでも見つからなかった。

四輪領域で
つかんだ確信。

ロボットのために選んだHonda。けれど最初の配属先は四輪領域だった。当時のHondaは、ロボット領域はきわめて狭き門だったのだ。僕は少し戸惑いながらも、新たな4WDシステムを先行開発から量産化まで手がけることになった。しかし、これが思いがけず大きな収穫につながった。限られた時間の中で、四輪に求められる安全性をとことん突き詰め、世の中に送り出す。そのプロセスはHondaが独自に積み重ねてきた知恵や経験の結晶だ。安全なものは一朝一夕にはつくれない。どんなに優れた人工の知能をつくる会社でも、搭載するハードウェアを最初から安心して使えるレベルにするのは難しいだろう。収穫とは、Hondaならそれができるという確信だ。

開発中にはこんな出来事もあった。システムは油圧で動くため、油温を常に検知しておく必要がある。その検知精度が悪化してしまう故障モードが見つかったのだ。正しく検知できなければ、ごくまれな条件下ではあるがトラブルの引き金になりかねない。しかし、従来通りのソフトウェアを用いた手法では故障検出が難しく、予備のセンサーを追加すればコストに跳ね返る。そこで僕が発案したのが、機械学習による温度の推定だ。上司からはすぐにゴーサインが出たが、機械学習の知見があるのは僕しかいない。ひとりでデータ収集からプログラミング、検証までのすべてをこなし、どうにか胸を張ってお客様に届けられるものに仕上げた。すさまじいプレッシャーの中、機械学習という自分だけの武器で、立ちはだかった壁に風穴を開けることができたのだ。

志を、
自由に解き放て。

Hondaには、個人の自由な研究をバックアップする仕組みがある。ふだんの業務とは別に、関心のあるテーマに独自に取り組むことができ、きちんと予算までつくというものだ。もちろん僕はそれに飛びついた。テーマはいうまでもなく機械学習だ。例えば、ドライバーごとの特徴を読み取るために、もっとも適切な車両データをコンピュータが選んでくれるようにする。すると、一人ひとりのドライバーにさらに寄りそったサービスの提供が可能になる。通常業務に全力を注ぐ一方で、そんな自分だけの研究にも思いきり打ち込んだ。

嬉しかったのは、「これをやりたい」と手を挙げた時に「やりなよ」という言葉だけが返ってきたことだ。語られる夢を、誰ひとりとして否定しない。思えば4WDシステムに機械学習を入れようとした時も、ほとんど即決で背中を押してもらえた。僕以外の誰にも知見がなく、うまくいくかどうかの確証だって持てなかったはずなのに。若手でも、強い志さえあれば信じて任せる。この文化は、僕にとってかけがえのないHondaの魅力だ。

新たな価値の
中心地へ。

僕はいま、Hondaの新価値創造をけん引する「R&DセンターX(HGX)」にいる。挑んでいるのは、ロボット知能化技術の研究開発。そう、僕はついに入社前から夢見ていた領域へと踏み込んだのだ。だからといって、これまでが回り道だったとは思わない。HGXはオープンイノベーション、つまり社外のさまざまな分野の第一人者と共創を行う舞台でもある。共創とは、誰かに寄りかかってモノづくりを行うことではない。自分自身が主体性を持ちながら、お互いの強みを掛け合わせていくことだ。コア技術はすべて自社で手がけるというHondaの独創を四輪領域で経験したことで、僕は共創にとって大切な主体性の持ちようを学ぶことができた。

本格的にロボットと向き合いながら、あらためて思うHondaの強さがある。それは、二輪、四輪、パワープロダクツへと及ぶ、ケタちがいに幅広い事業領域だ。多種多様なプロダクトを手がけるからこそ、安全なハードウェアをつくりあげるための技術は鍛え抜かれてきた。さらに全世界で約2800万台という販売台数は、暮らしをよりよくするために必要なデータの源になりうる。Hondaにしかないこの強力な土台を足がかりにすれば、かつてない機械知能技術を搭載したロボットを、きっと人々の暮らしに届けることができる。僕の夢は、情感までも豊かにするようなコミュニケーションと、ひとつの仕事を人と助け合ってやりとげるような協調性を備えたロボット。そしてHondaは、Cooperative Intelligence(CI)=人と協調できる人工知能をHGXの中核テーマに掲げている。僕がロボットで描く夢と、Hondaのめざす未来。それは、ぴったり重なっている。

CAREER PASS

START
トランスミッション製造部にて工場研修。
Honda Carsにて販売店研修。

  • STEP.01

    2007/10~2016/10

    電子制御4WDシステムの先行研究から量産開発まで全フローを担当。機械学習を専門としないメンバーとともに業務を遂行していく中で、異なる専門性がぶつかり合うことで新しい価値が生まれる可能性を見出す。開発業務の中でドライバーを理解できるシステムの必要性を痛感し、会社のバックアップのもと独自で知能化研究を継続する。

  • STEP.02

    2016/11~2017/3

    社内公募制度を活用し、念願のロボット知能化領域へ異動。知能化技術のアルゴリズム研究を担当する。

  • STEP.03

    2017/4~

    人工知能技術の研究開発拠点・HGX-CIに拠点を移す。志を同じくするさまざまな分野の企業や研究機関と連携し、これまで世の中になかった技術を生み出す研究に没頭する日々。Hondaの数あるプロダクト一つひとつに、自分が開発した知能化技術が実装される未来を夢見ている。

STAFF